2021.04.23
スポーツフォトグラファー 水谷 たかひと氏がタムロン150-500mm F5-6.7 (Model A057)でロードレースを狙う
スポーツフォトグラファー 水谷 たかひと氏がタムロン150-500mm F5-6.7 (Model A057)でロードレースを狙う


タムロンのEマウント用レンズシリーズに新しい焦点距離のズームレンズ、TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)が登場しました。150mmから500mmというスポーツ撮影にピッタリな焦点距離。これは是非とも使ってみて、レンズの実力を確かめてみたいと思い、サーキットに持ち込みました。
被写体は全日本ロードレース選手権、最高峰クラスに参戦しているYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行選手。バリバリのファクトリーマシンとライダーです。150-500mm F5-6.7の外観は超望遠ズームとは思えないほどコンパクトで、持ち運びの利便性の良さを感じます。重さは若干感じますが、これには採用されているレンズの枚数が関わっているとのこと。解像感を向上させるために枚数が増えたそうです。そのこだわりで若干の重量アップは納得です。
さて使用感ですが、少し前に70-180mm F2.8 (Model A056)を使用した際に感じたことと同様に、まず一言が「あー凄いやこりゃ!!!」なのです。AFはコンティニアスで、高速でこちらへ向かってくるもの、瞬時に横に移動していくもの、一瞬で遠くへ逃げていくものなど、どんな場面でも被写体をAFセンサーから外さなければ、ストレス無く追従してくれます。全面トラッキングでも良好な結果でした。安心して作品作りができます。望遠側の500mmを多用しましたが、どの焦点距離を使用しても素晴らしい解像感は変わりありません。圧倒的高画質をとことん追及したレンズ構成の成果を、如実に感じることが出来ました。色調もそれぞれ好みがあると思いますが、ナチュラルな発色で私は好きです。全ての写真はRAWデータから現像したもので、ホワイトバランスはオートでクリエイティブスタイルはスタンダード、画像調整は何も補正していません。シャープネスもヒストグラムもトリミングも一切触って無い状態の写真です。
また、手ブレ補正機構VCが搭載されています。やはり超望遠レンズでは手ブレが発生する確率が高くなりますので、VC付きは嬉しいですね。今回は暗いピットの中で速いシャッタースピードを確保出来ない状況で使用してみました。効きます!ブレません!!ありがたい!!!他に言葉はいらないでしょう。安心して使用可能です。開発者の想いがぎっしり詰まった、こだわりの逸品だと思いました。多くのユーザーにそれを感じて欲しいですね!
一枚目の写真( 焦点距離:500mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100)
150-500mmの特長を象徴するような写真です。一瞬で逃げる被写体を高速で正確なAFで追従し、レーシングスーツの質感を「これでもか!」と高画質で描き出してくれました。
高速でコーナーを立ち上がってくるマシンを狙いました。
コーナーリング中のライダーの美しく力強いフォームを狙いました。
コーナー立ち上がりのスピード感と迫力を狙っての流し撮りです。1/250秒のシャッター速度で移動している被写体と同方向にレンズを振るという流し撮りの基本に沿った撮影方法です。シャッタースピードを遅くするだけが流し撮りではありません。被写体の速度、流れる背景などを考慮して、確実にピントの芯を被写体に残すのが私の流し撮りの流儀です。シャッタースピードを遅くして、たまたまピントの芯が残ったものはカウントしません。ピントの芯が残る確率が高くなる方法を用いて撮るのが大事だと思います。150-500mm F5-6.7は流し撮り撮影でも満足できる性能でした。
超望遠ズームでクローズアップ撮影。このような寄りの撮影も可能です。
ピット内にて走行に備えるライダーの緊張感を狙ってみました。明るさが確保できない暗いピット内で、ライダーの眼を捉えたいと思い瞳AFを使用したのですが、ストレス無く瞳に合焦してくれました。VCも併せて使用したことで手ブレがかなり軽減され、必要以上にISO感度とシャッタースピードを上げることなく使用できるのは、大変ありがたいですね。150-500mm F5-6.7は、暗くても安心して手持ち撮影が可能なレンズです。
逆光を利用してライダーの後ろ姿の美しさを、陰影を付けて強調しました。少々レンズにとって意地悪な状況ですが、逆光だと順光や斜光に比べてAFの性能や解像感が問われると思います。AFが迷ったり、ぽわーっとしたりするような、解像感の無さは全く感じられることなく、全然意地悪になりませんでした。陰影を付けたかったのでかなりアンダー目に撮影しましたが、納得の解像感です。

Takahito Mizutani 水谷 たかひと
1968年東京生まれ。1990年東京総合写真専門学校卒業と同時に渡仏。様々なスポーツイベントを撮影し、3年後に帰国。拠点を日本に移しスポーツイベントを追いかける。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員、一般社団法人日本スポーツ写真協会(ANSP)会長、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員、株式会社マイスポーツ出版代表取締役