2021.12.09
写真家 渡邉 真弓氏がタムロン18-300mm F3.5-6.3 (Model B061)富士フイルムXマウント用で写す、晩秋の北海道・浦河町の旅
写真家 渡邉 真弓氏がタムロン18-300mm F3.5-6.3 (Model B061)富士フイルムXマウント用で写す、晩秋の北海道・浦河町の旅


被写体に応じてレンズ交換をすることはカメラの愉しみのひとつですが、突然の被写体との出会いにレンズ交換が間に合わなかったり、適切なレンズを持参していなかったり、という経験をされた方もいるのではないでしょうか。そんなときによく聞くのが「広角から超望遠までカバーできる1本があったら」という声。そうした想いにしっかり応えてくれるレンズとして、タムロン 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)が誕生しました。しかも待望の富士フイルムXマウント用での登場です。今回は、富士フイルムX-T4と18-300mm F3.5-6.3 (Model B061)の組み合わせで、北海道・浦河町へ撮影の旅に出かけました。
浦河町は、えりも岬から50キロメートル、札幌市から約180キロメートルのところにあり、北は日高山脈、南は太平洋に面しています。浦河町とは個人的にとてもご縁が深く、浦河観光協会やえりも岬とんがりロード観光協議会と、写真による地域の魅力発信プロジェクトを展開中で、大好きな町のひとつです。
一枚目の写真 焦点距離:56mm 絞り:F11 シャッタースピード:1/280秒 ISO感度:640 使用カメラ:富士フイルムX-T4 フィルムシュミレーション:クラシッククローム
浦河町は馬産地として有名で、約200の牧場があります。雄大な日高山脈とサラブレッドのいる風景は、浦河らしい風景のひとつです。馬を驚かせないよう、道路端の安全な場所から撮影。18-300mmという高倍率ズームの焦点距離を活かし、撮影環境が限られる場所でも、イメージどおりに撮影することができました。
「ルピナスの丘」も浦河らしい場所。丁寧に手入れされた花畑越しに太平洋と町並みが一望できるのが魅力です。ここでは広角端18mmが大活躍。左正面の丘から港を抜けて、海まで続く眺望や右側の町並みまで、ワイドに捉えることができました。
まず、手前にある黄色い花にピントをあわせて撮影。奥に咲く黄色の花、海、そして空まで背景ボケに入れることで、奥行き感のある写真となりました。
今度は、画面中央の奥に見える灯台にピントを合わせてみました。黄色い花が前ボケとなり、ドラマチックな印象になりました。同じ場所からでもピント位置を変えることで、表現が変わります。この楽しみ方は最短撮影距離が短い18-300mm F3.5-6.3 (Model B061)だからこそできる撮り方です。また、ぐいっと被写体まで寄りたいときは、レンズフードを外して撮影を。その際は、レンズ前玉に被写体が接触しないように気を付けてくださいね。
晩秋ということもあり、ほとんどの花は枯れかけていました。こういう色味が少ないときこそ気を付けたいのが主役の立体感です。F値をしっかりコントロールして被写体が浮き上がるようにします。タムロンレンズならではの柔らかなボケ味が、主役を引き立てて優しい印象を作ってくれました。
次第に日が暮れて、海に太陽が沈み始めました。工事車両を載せた船がゆっくりと沖に出ていきます。暗部の表現もつぶれることなく、夕陽に照らされた丘の雰囲気をしっかり捉えることができました。
撮影を続けていると、先ほど沖に出ていった船が大きく左に曲がりました。とっさに、レンズをサッと18mmから300mmにズームアップし、夕陽を横切っていく様子を撮りました。1本でこの2つのシーンを撮ることできるとは!と改めて高倍率ズームレンズの威力を体感しました。
人気のパン屋さんへ。バインミーとミルクティーを撮りました。お店の雰囲気も構図に入れたくて、左上の窓枠や右下のテーブルの端のバランスを意識しながら、ズームリングをまわして焦点距離を調整しました。
馬と触れ合える、「優駿ビレッジAERU」にも行きました。ウイニングチケットなどの功労馬がいたり、乗馬や宿泊もできたりする施設です。復元厩舎の中から外に向かって撮りました。明暗差の大きい場面ですが、しっかりと細部まで捉えることができました。
馬がのんびりと草をはむ様子をそっと望遠側で捉え、柵や枝など背景がうるさくならないようにF6.3で撮影しました。春になると桜が咲いて美しい場所です。
11月末から1月にかけて、オオワシが越冬のため浦河町に飛来します。観光協会の方と一緒にイーグルウォッチングへ出かけました。オオワシは個体数が少なく、国際自然保護連合と日本の環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定され、国の天然記念物にも指定されている希少な鳥です。オオワシの生態に影響しないよう、遠くから適切な距離を保ち、車の中からそっと撮影します。こういうシーンでは超望遠300mmが大活躍。35mm判換算で450mm相当となるので、ぐっと引き寄せて撮ることができます。オオワシは細かな枝と枝の間にいましたが、18-300m F3.5-6.3 (Model B061) はAF精度が高く、素早くしっかりとピントが合います。さらに、手ブレ補正が効果を発揮して、超望遠300mmでも手持ちで撮影することができました。
今回、浦河町で様々な被写体と出会いましたが、18-300mmという幅広い焦点距離のおかげで、どの場面でもイメージどおりに撮影することができ、レンズ交換の必要性を感じることがありませんでした。今回は富士フイルムX-T4との組み合わせで使いましたが、620gと軽いレンズなので、ボディとのバランスも良く、長時間持ち歩いても疲れません。簡易防滴構造も採用されているため天気が多少変わっても安心です。
普段からカメラの特性を活かした色づくりなど、撮影時に細かな設定をしていますが、このレンズは違和感もなく、いつも通りにjpeg撮って出しでお見せすることができました。18-300m F3.5-6.3 (Model B061) は、高倍率ズームながら高い描写力で、最短撮影距離が短いといったこのレンズならではの特徴もあり、今回のような旅のシーンはもちろん、日常においても、自由な発想で幅広い撮影が楽しめる「最強便利ズーム」だと実感しました。
撮影協力 浦河町