2026.06.24
タムロン17-70mm F2.8 (Model B070) キヤノンRFマウント用レビュー: 写真家 佐藤 かな子氏が撮る家族写真
タムロン17-70mm F2.8 (Model B070) キヤノンRFマウント用レビュー: 写真家 佐藤 かな子氏が撮る家族写真
写真家の佐藤 かな子です。今回は、成長の途中にある子どもとの“今だけの家族の距離感”を、親目線で静かに切りとってみました。使用したレンズは、タムロン17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)キヤノンRFマウント用。APS-Cサイズミラーレス一眼カメラに対応し、35mm判換算27.2-112mm相当をカバー。全てのズーム域でF2.8を維持し、手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を搭載した大口径標準ズームレンズです。
一枚目の写真 70mm F2.8 1/400sec ISO 200 Camera: CANON EOS R7
大げさな演出をしたり、特別な出来事があるわけではない。でも光が良くて、心地よい空間があって、「いいなあ」と思う瞬間は日常の中に見え隠れしています。17-70mm F2.8は、そんな何気ないワンシーンを、そっと物語のある一枚へと導いてくれるようです。撮影後に彩度やコントラストを盛らなくても、色がきちんとそこに在って、被写体が静かに浮かび上がる。“派手じゃないのに印象に残る”という感覚で、ワンランク上の家族写真を気軽に楽しめそうだと感じました。
程よい距離をとりながらも、表情にしっかり寄れる望遠端70mm (35mm判換算で112mm相当)。9枚の絞り羽根による自然なボケと、触れたくなるようなリアルな質感描写が印象的です。
手が届く距離からばかり撮っていた幼少期から、徐々に親子の距離も変化していきます。それでもレンズを通せば、いつでもそっと抱き寄せられる。そんな撮り方ができる70mmまでの望遠域は、やはりありがたいと感じます。
人物撮影では、顔に強い影がでにくい逆光下での撮影も好まれると思います。ここでも強い光が射し込んでいましたが、その場の光を受け入れて、やわらかく溶け込むような表現と色味に心地良さを感じました。肌がナチュラルになめらかに写るのも魅力で、キヤノンらしい肌再現ともマッチし、温度感のある一枚に仕上がりました。
広角端17mm (35mm判換算27.2mm相当)は、空間を活かしたフレーミングと遠近感が特徴です。そこにこのレンズの立体的な質感が加わって、より迫力のあるダイナミックな表現となりました。ピント面はきちんと解像していますが、空気をふんわり含んだやわらかさの中で、主役が自然と浮かび上がる印象です。こうした写真は大きなモニターで見たり、プリントしたりしたくなります。
ズーム域の広さやAFの速さは、瞬間の鮮度を逃さず、家族時間を楽しむ余裕を与えてくれます。
空間を広く撮りたいけれど、周囲の人などの映り込みは整理したい。そんな時はバリアングル液晶モニターを使って、低い位置から見上げたり、モノクロで撮影するのも良いでしょう。日常のワンシーンがさらりと作品へと昇華されます。
明暗差の大きなシーンでも、影の中の情報や中間調のトーンによって、生地の質感やフォルムがきれいに描写されています。また、やわらかなボケが背景をほどよく整理してくれました。光が美しくて思わずシャッターを切りましたが、深みがあって上品で、CMのような一枚が簡単に撮れてしまいました・・・。
子どもの生活スタイルの変化に合わせて、夕方や夜の室内で過ごす時間も増えてくるでしょう。特にそんな薄暗いシーンや望遠での撮影時、手ブレ補正機構VCが搭載されていることは特筆すべきポイントです。また、このレンズのサイズ感と質量は、実際に構えるとバランスが良く、安定したホールディングに繋がっていると感じました。
たくさん遊んで擦れたビーズ、ちょっぴりケガをした柔らかい手のひら。丁寧な描写力は、微かな傷の一つ一つまで愛おしい記憶として残してくれました。子どもと手を繋げる日々も、いつかは終わります。そんな時、きっとこうした写真たちがタイムマシーンとなって、二度と繰り返されることのない日々を思い出させてくれると思うのです。
最後は、散歩の終わりにたどり着いた、いつもの海辺にて。空に残った夕焼けが消えてゆくのを眺めました。近くの家族の気配も、遠くに浮かぶ光景も、このレンズが広角から望遠まで明るさを保ったまま収めてくれます。そして改めて、わずかな残光の中でも一段絞れる余裕があることに、大口径ズームレンズならではの恩恵を感じました。