2026.10.14
タムロン16-50mm F2.8 A (Model B091) キヤノンRFマウント用レビュー | 写真家 八雲 いつか氏が撮る家族の誕生日会
タムロン16-50mm F2.8 A (Model B091) キヤノンRFマウント用レビュー | 写真家 八雲 いつか氏が撮る家族の誕生日会
顔の向きを少しずつ探って、虹彩がきれいに見える角度、瞳に光が宿る角度を見つけました。わずかな違いで、表情の印象まで変わります。このような半逆光を好んでよく撮影をしています。斜め後ろからの光が髪や頬を縁取り、立体感をつくってくれるからです。肌の色や質感、ピントが合った瞳から背景へとほどけていくボケ。その両方を併せ持つのがこの角度でした。
撮りたいのは、その人らしい表情です。そのためには、撮影者自身も、写してほしい表情をしているほうがいい。カメラの後ろで難しい顔をして、向こう側だけに楽しさを求めるのは、あまり効率がよくありません。自分も撮られるくらいの気持ちで、その場に加わります。撮影者の気分は、思っている以上にみんなに伝わるものです。
画面の中には、多くの色を集めました。花、風船、果物、お菓子。誕生日会の表現を、表情だけでなく色にも手伝ってもらうために。ケーキやお菓子、スタッフのお弁当まで、今回もすべてプラントベース(植物性)のものを選択。普段から動物性の素材を使わないことを大切にしていて、撮影のために用意するものも、必ずそのようにしています。
庭に出ると、あいにくの雨。暗い天気の中で動く犬を撮るには、シャッタースピードを確保したいところです。ここで、ズーム全域F2.8の明るさに助けられました。素早くピントが合う性能も、表情や動きを追ううえで心強く感じます。こうした優れた性能に支えられているからこそ、撮影時はまず犬の気持ちに寄り添うことができます。何に興味があるのか、まだ遊びたいのか、少し休みたいのか。こちらが相手を見ながら撮っていると、犬もこちらの撮りたいものを察してくれます。
家族を外から眺めるというより、自分もその輪の中にいるような距離で撮りたいと思いました。広角端16mmなら、近くの犬と、その向こうにいる家族を一緒に入れられます。そこから表情へ寄りたいときも、レンズを交換せずに済みます。撮影のテンポを止めないことも、自然な表情を撮るための大事な条件です。純真無垢なものを撮っていると、自分も少しそれに近づける気がします。犬を撮る時間には、そんな楽しさもあります。
向かい合う二人を、少し離れて見つめる瞬間を捉えました。撮影において、いつも特別な動きが必要なわけではありません。見上げる目や、添えられた手にも、物語はあります。
紙吹雪が舞う一瞬。両手を上げて笑う一瞬。写真では動きが止まっているのに、その前後まで感じられることがあります。何を、どの瞬間に、どこから撮るか。高い位置や低い位置から狙うときには、バリアングルモニターも役立ちました。ただ被写体の魅力をありのままに写すだけでなく、その場の空気感や楽しさまで膨らませて表現したい。光の回り方や構図、シャッターを切る一瞬のタイミングも、すべてその想いから選択しています。
顔を入れなくても、楽しさは写ります。手のひらいっぱいの青と服のピンク。少し視線を下げると、表情とはまた違う、1枚の面白さが見つかります。