2023.10.31
F値(絞り値)とは?シーンごとの設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
F値(絞り値)とは?シーンごとの設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説


写真撮影において、光の量やボケの具合をコントロールするための重要な要素として「絞り」があります。絞りの役割は、カメラのレンズを開いたり閉じたりすることで、光量を精密に調整することです。絞り具合を示す数値は「F値」や「絞り値」と呼ばれます。
この「F」はFocal(焦点)の頭文字のことです。F値は、焦点距離 f を有効口径 D で表すレンズの大きさで割った値として計算されます。つまり、F値 = f ÷ D と表すことができます。
F値が小さいとは、レンズの有効口径 D が大きいことと同じ意味です。その結果、レンズを通過する光の量が増えます。そのため、F値を大きくすることでレンズを通過する光の量は減ります。
また、絞りには「多角形絞り」と「円形絞り」がありますが、円形絞りだと街明かりや照明などの点光源に対して美しいボケを表現できます。タムロンのレンズにも高性能な円形絞りが採用されています。
F値が重要なのはなぜ?
F値はレンズの明るさを表す基本的な指標で、F値によってボケ具合が変わったり、F値の明るさに応じてシャッタースピードを調整するなど、写真を撮影する際のセッティングに対する考え方の基礎となります。
たとえば、暗いシーンや夜景を撮影する際には、F値が小さいレンズを選ぶことで多くの光を取り込みやすくなります。多くの光を取り込むことはシャッタースピードを速くして手ブレを軽減したり、ISO感度を低く抑えて画質を向上させるなどの利点に繋がります。
逆に、F値が大きい場合、より多くの光を取り込むためにシャッタースピードを遅くする場合もありますが、手ブレが発生するリスクも高まります。ISO感度を上げ過ぎると画質の低下に繋がるため注意が必要です。
開放F値(絞り値)とは?
レンズの絞りを一番開いたときのF値が「開放F値(絞り値)」です。
この開放F値は、レンズが光を最大限に取り込める状態になっていることを示しています。開放F値が小さいほど、暗所での撮影や、背景をぼかした写真が撮りやすいレンズといえるでしょう。暗い環境や高速な動きを撮影する際には、この明るさが大きなアドバンテージとなります。
F値の大きさによって何が変わる?
F値は写真の仕上がりに大きく影響する重要な要素です。
シャッタースピードやISO感度にも密接に関わるため、カメラの露出設定における基本的な要素といえます。F値によって写真の見え方がどのように変わるのかを理解することで、写真の表現力を大きく向上させることができるでしょう。
①ボケ感(被写界深度)
F値が写真に与える代表的な影響の一つが、ボケ感(被写界深度)の変化です。被写界深度とは、カメラで撮影する際にピントが合って見える範囲のことを指します。被写界深度の変化は、レンズの絞りが物理的に開閉することで生まれます。たとえば、絞りを開く(F値を小さくする)と、光の通り道が広くなり、ピントが合ってみえる範囲が狭くなるのです。
F値が小さい場合

ボケが大きく見えるため、被写体が際立ちます。
前景や背景が美しくボケることで、メインの被写体に視線が集中しやすくなるでしょう。
ポートレート撮影などで、人物の印象を際立たせたい場合に効果的です。
F値が大きい場合

全体がシャープに、広範囲にピントが合って見えます。
前景から背景まで、画面全体の要素を鮮明に表現できるでしょう。風景写真などで、景色全体を美しく描写したい場合におすすめです。
関連記事:被写界深度とは?その意味や写真表現への活用方法を解説
②露出
露出とは、カメラのイメージセンサーに取り込まれる光の量のことです。F値は、露出に大きな影響を与えます。
たとえば、F値が小さいとより多くの光を取り込むことができるため、暗所でシャッタースピードやISO感度を抑えても、明るめの写真を撮りやすくなります。 逆に、F値が大きい場合は光量が減少するため、適切な明るさを得るために、シャッタースピードを遅くしたり、ISO感度を上げる必要が出てくるでしょう。
関連記事:一眼カメラの露出とは?露出を決める要素と露出補正の使い方
開放F値は小さければ小さいほどいい?
開放F値が小さいほど多くの光を取り込みやすく、暗所撮影や大きなボケを生かした写真表現ができるのは事実です。しかし、シチュエーションによっては、開放F値が小さいレンズが最適解ではない場合もあることを理解しておきましょう。
数値だけで判断せず、撮影シーンや被写体、撮りたいイメージ、予算などによってバランスを見極めることが大切です。
開放F値が小さいことによるメリット
ボケ感を出しやすい
開放F値が小さいレンズは、美しくなめらかな背景ボケを得やすいです。被写体を際立たせたいポートレート撮影や、花などのマクロ撮影において、特に美しい描写が得られるでしょう。
暗い場所でもクリアな写真を撮りやすい
シャッタースピードやISO感度を抑えられるため、暗い場所でも明るくノイズの少ない写真が撮れます。室内での撮影や夕暮れ時の撮影、夜景など、光量が限られた環境での撮影において大きなメリットとなります。
手ブレを軽減できる
速めのシャッタースピードでも明るめの写真を撮りやすくなるため、手ブレのリスクを軽減できます。三脚を使用できない状況での撮影においても、安定した撮影ができるでしょう。
開放F値が小さいレンズで注意したいポイント
レンズが大きくなりやすい
開放F値が小さいレンズは、物理的にレンズが大きく、重量も重くなる傾向があります。荷物を少なくしたい旅行や、アウトドアや登山などで気軽に撮影したい場合など、持ち運びの利便性を重視する場合は、多少開放F値が大きくても、軽量・コンパクトなレンズを選ぶと良いでしょう。
開放付近ではピント合わせに注意
絞りを開放F値まで開くと被写界深度が浅くなるため、わずかなピントのずれも目立ちやすくなり、より精密なフォーカシングが求められます。特に動いている被写体や小さな被写体をマクロ気味に撮影する場合は難易度が高くなるため、繰り返し練習することも必要になるでしょう。
F値とシャッタースピード、ISO感度の関係
F値に応じた、シャッタースピード、ISO感度の設定もイメージを持っておくと便利です。
F値が小さい状態では、多くの光がセンサーに入るために光の量は多くなります。これにより、シャッタースピードを速くすること、ISO感度を低い設定にすることが可能です。この組み合わせには、手ブレを抑え、画像のノイズを小さくする効果があります。また、背景のボケも強調されるため、被写体を際立たせるのにも有効です。
逆に、F値が大きい場合は、光の量が減少して写真が暗くなるため、シャッタースピードを遅く、ISO感度を高くしましょう。ただ、シャッタースピードを遅くすると、手ブレが出やすくなるので三脚を使用することもおすすめです。また、高いISO感度はノイズ(ざらつき)の増加につながるため、トライ&エラーを繰り返して調整しましょう。
「絞り優先モード」を活用したF値の変え方
カメラ本体を「絞り優先モード」にすると、F値を指定することで、シャッタースピードの設定をカメラが自動的に調整してくれます。ボケ感を決めて、あとはシャッターを切るだけで良いので、まずはこのモードを試してみるとよいでしょう。
基本的にF値が大きいとシャッタースピードが遅く、F値が小さいとシャッタースピードが速く調整されます。シャッタースピードが遅いと、手ブレが発生しやすくなるので、気になる場合はF値を小さくしてみましょう。
開放F値固定(F値通し)レンズとは?
多くのズームレンズでは、広角から望遠までの焦点距離の変化に伴って、開放F値が変わるのが一般的です。しかし、開放F値固定(F値通し)レンズの場合、焦点距離の変化に関わらず、開放F値が一定に保たれます。
このレンズの一番のメリットは、シャッタースピードやISO感度の調整が格段にやりやすくなることです。ズーミングによるシャッタースピードの変化も無く、望遠域での撮影時でも変わらない明るさを保てるため、ボケの効果を活かしながら、ISO感度を上げずに明るい写真を撮ることができます。
このような開放F値固定(F値通し)レンズは、撮影状況の変化に柔軟に対応しながら、一貫したイメージでの撮影が可能です。そのため、プロの写真家や撮影レベルの上級者にも愛用者が多いレンズです。
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16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 a064(Model A064)
市場で好評を得た17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)が進化し、第2世代「G2」モデル。ズーム倍率を拡大しながらも、軽量・コンパクトな設計を維持し、高画質を実現しました。さらに、AF性能を向上させるとともに、最新のレンズデザインにアップデートし、操作性を高めています。また、レンズに動画・写真撮影用の実用的な機能を割り当てられるTAMRON Lens Utility™にも対応。初代の機動力と実用性を継承しながら、広角撮影の可能性をさらに拡げた16-30mm F2.8 G2。超広角ならではの表現を存分にお楽しみいただける一本です。
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28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 a063(Model )
28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)は、高い評価を受けた28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)から、第2世代「G2」として、さらなる進化を遂げた大口径標準ズームです。高画質・高解像を実現し、AFの高速化と高精度化を達成しました。広角端での最短撮影距離0.18m、最大撮影倍率1:2.7を実現。新デザインの採用により操作性や質感も向上しました。さらに、独自開発した専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズが可能になりました。
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70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 a065(Model )
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)は、市場でご好評をいただいている大口径望遠ズーム「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」(以下Model A056)からさらなる進化を遂げ、第2世代「G2」モデルとして誕生しました。本機種では、タムロン独自の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を新たに搭載。クラス最小・最軽量*の機動力を維持しながら、より安定した撮影が可能です。また、初代Model A056から光学設計を一新し、ズーム全域で妥協のない高画質な写りを実現。広角端の最短撮影距離も初代の0.85mから0.3mへ短縮することに成功しており、非常に短い最短撮影距離による、本レンズならではのユニークな写真表現が楽しめます。*手ブレ補正機構搭載フルサイズミラーレス用大口径F2.8望遠ズームレンズにおいて。(2023年8月現在。タムロン調べ)
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17-50mm F/4 Di III VXD a068(Model )
17-50mm F4は、静止画や動画撮影で使用用途の高い焦点距離をカバーした、超広角域17mmから標準域50mmまでをF4通しでカバーする広角ズームレンズです。ズーム全域で高い描写力を達成しており、画面周辺までクリアに描きます。AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)を採用し、高速・高精度なAFを実現。また、インナーズーム機構の採用により、ズーム時に長さが変化しないため、静止画撮影だけでなく、ジンバルなどに搭載してもバランスがとりやすく、動画撮影にも最適です。さらに、広角端で最短撮影距離0.19m、望遠端で0.3mと近接撮影能力が高く、被写体に思いきり寄れるため、様々な撮影シーンで個性豊かな一枚を撮影することができます。 機動力・利便性に長けたこの1本を持ち歩けば、静止画・動画問わず、ダイナミックな風景からスナップ撮影まで、レンズ交換をせずにバリエーション豊かな撮影が可能です。

ポートレート撮影の魅力の一つは、前後のボケを生かして人物を際立たせることなので、開放F値に近い状態での撮影がおすすめです。
具体的には、標準ズームレンズではF2.8、単焦点レンズの場合はF1.4などが一般的に使用されます。このような開放に近いF値を利用すると、ボケの効果が強まり、人物を引き立たせることが可能です。
レンズの選び方も、ポートレートの質を大きく左右します。たとえば、タムロン 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058) は、レンズ1本で準広角から望遠までの範囲をカバーすることができるほか、広角側の開放ではF2、望遠側でもF2.8という明るさを持っています。
この明るさのおかげで、手ブレを抑えるための早いシャッタースピードや、ノイズを抑えるための低ISO感度を選択しても、十分に明るく、鮮やかに人物を写し撮ることができます。

風景写真では、美しい自然や都市の景色などを、広範囲にわたり細部のディテールまで精緻に表現したいところです。そこで、ボケを最小限に抑え被写界深度を深くするために、F値を大きく(絞って)みましょう。具体的なF値ではF8〜11程度がよく使われます。これにより、前景から背景まで、全ての部分を明瞭に写し撮ることができます。
ただ、F値をむやみに大きくするのは避けましょう。なぜなら、F値が大きすぎると、レンズの収差や光の回折によって、解像度が悪化する場合があるからです。目安として、F16より大きくなると細部がぼやけることが多いので、その時はF値を小さくしてみてください。
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16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 a064(Model A064)
市場で好評を得た17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)が進化し、第2世代「G2」モデル。ズーム倍率を拡大しながらも、軽量・コンパクトな設計を維持し、高画質を実現しました。さらに、AF性能を向上させるとともに、最新のレンズデザインにアップデートし、操作性を高めています。また、レンズに動画・写真撮影用の実用的な機能を割り当てられるTAMRON Lens Utility™にも対応。初代の機動力と実用性を継承しながら、広角撮影の可能性をさらに拡げた16-30mm F2.8 G2。超広角ならではの表現を存分にお楽しみいただける一本です。

夜景を撮影する際も、風景写真と同様にディテールを精細に写し撮ることが求められます。そのため、風景写真と同じように、F値はF8〜F11程度に設定するのが一般的です。
ただし、夜景撮影においては、ISO感度やシャッタースピードの調整も非常に重要です。F値をF8〜F11に設定した場合、必要な明るさを確保するには、ISO感度を上げるかシャッタースピードを遅くする必要があります。三脚を使って手ブレを抑えつつ、ノイズとのバランスに気をつけましょう。
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17-50mm F/4 Di III VXD a068(Model )
17-50mm F/4 Di III VXD (Model A068)は、静止画や動画撮影で使用用途の高い焦点距離をカバーした、超広角域17mmから標準域50mmまでをF4通しでカバーする広角ズームレンズです。ズーム全域で高い描写力を達成しており、画面周辺までクリアに描きます。AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)を採用し、高速・高精度なAFを実現。また、インナーズーム機構の採用により、ズーム時に長さが変化しないため、静止画撮影だけでなく、ジンバルなどに搭載してもバランスがとりやすく、動画撮影にも最適です。さらに、広角端で最短撮影距離0.19m、望遠端で0.3mと近接撮影能力が高く、被写体に思いきり寄れるため、様々な撮影シーンで個性豊かな一枚を撮影することができます。機動力・利便性に長けたこの1本を持ち歩けば、静止画・動画問わず、ダイナミックな風景からスナップ撮影まで、レンズ交換をせずにバリエーション豊かな撮影が可能です。

天の川や流れ星、そして遠くの星々の光をしっかりと撮影するため、F値は開放F値に近いF2〜F2.8などに設定することが多くなります。このように設定することで、できるだけ多くの光を取り込むことができ、星の輝きを明確に捉えることが可能です。
ISO感度やシャッタースピードに関しては、夜景と同様の考え方で調整しますが、長時間露光の場合、地球の自転により星が流れて写る場合が有りますので注意が必要です。イメージ通りに近づけるために、試行錯誤してみましょう。
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16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 a064(Model A064)
市場で好評を得た17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)が進化し、第2世代「G2」モデル。ズーム倍率を拡大しながらも、軽量・コンパクトな設計を維持し、高画質を実現しました。さらに、AF性能を向上させるとともに、最新のレンズデザインにアップデートし、操作性を高めています。また、レンズに動画・写真撮影用の実用的な機能を割り当てられるTAMRON Lens Utility™にも対応。初代の機動力と実用性を継承しながら、広角撮影の可能性をさらに拡げた16-30mm F2.8 G2。超広角ならではの表現を存分にお楽しみいただける一本です。

子どもの運動会やスポーツ競技会などは思い出を切り取る絶好の機会です。我が子はもちろんですが、お友達とのショットや、全体の雰囲気までしっかりと表現したいものです。
そのためには、背景のボケを抑え、多くの子どもたちや観客の様子を明瞭に写し取ることが必要です。具体的には、F値をF4〜8などのように、少し絞って設定し、被写界深度を広くしてボケを抑えます。
また、子どもたちの動きが速い場面も多いため、ISO感度を少し上げ、シャッタースピードを速めに設定すると、被写体ブレや手ブレを防ぐことができ、動きのあるシーンもしっかりと捉えることができるでしょう。
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50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a069(Model )
50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A069)は、70-300mm使用時の「広角側が少し物足りない」の声に応え、広角側を50mm始まりに。望遠域300mmまでカバーしながらも非常にコンパクトなサイズを実現しています。また、50-300mm全域で高画質を達成。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)や手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)の搭載により、あらゆる撮影を強力にサポートします。さらに、広角端では最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率1:2の高い近接撮影能力で、存分にハーフマクロの世界を楽しめます。気軽に本格的な撮影が楽しめるこの万能ズームレンズが、作品づくりの可能性を広げます。
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70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD a047(Model )
70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD (Model A047)は望遠撮影をより多くの方に楽しんでいただくために生まれました。幅広い望遠域をカバーしながらも、軽量・コンパクトサイズを実現。特殊硝材の採用により、色収差をはじめとした諸収差を抑制し、高画像と美しいボケ味が楽しめます。また、AF駆動には静粛性に優れた高速・精密なステッピングモーターユニットRXDを搭載。風景やスポーツ、鉄道、飛行機の他、ポートレートやスナップなど、手持ちで軽快に撮影を楽しみたいシーンでもその力を発揮します。