2024.05.31
星空写真家 成澤 広幸氏による、TAMRON Lens Utilityの画期的な新機能「アストロフォーカスロック」で撮影する星空撮影
星空写真家 成澤 広幸氏による、TAMRON Lens Utilityの画期的な新機能「アストロフォーカスロック」で撮影する星空撮影
写真の三原則は①ピント②露出③構図だと言われています。このうち、①、②がしっかりと合っていれば写真として見られるものになるでしょう。しかしながら、星空を撮影する分野においては、この二つを行うことが非常に難しく、多くの撮影者を悩ませていることをご存じでしょうか。特に①ピントについては使用するレンズの性能・焦点距離や撮影環境によって異なってきます。私はYoutuberという肩書もあるため、ピント合わせの悩みについては非常に多くの方々から相談を受けてきましたが、完璧にそれを解消する方法は見つかっていないのが現状でした。そのような中、タムロンがひとつの解決策とも言うべき機能を開発してくれました。それがTAMRON Lens Utilityの新機能「アストロ FC-L」です。
星空撮影でのピント合わせの方法は、明るい光源(星や街灯など)を液晶モニター内で拡大しマニュアルフォーカスで、光源が一番小さくなるようにするというもの。言葉で説明するのは簡単ですが、これが非常に難しい。ただでさえ真っ暗闇の中で明るい液晶モニターを見るのはとても見づらいし、撮影者によって視力も違えば、気温や湿度によってピントも変わります。最初にピントを合わせてそのままずっと撮影を続けていたらいつの間にかピントがずれていて、帰ってデータを取り込んでからピンボケ写真を量産していたことに気づく、、、なんて経験をされた方も多いのではないでしょうか。また、広角レンズを用いた星景写真だけでなく、標準レンズ以上の焦点距離で撮影する天体写真の場合はさらに難易度が上がります。フォーカスリングに手を触れると光源が揺れてピントが合わせにくく、撮影するエリア内に明るい星がなく、ピント合わせの基準がないときもあります。
「北アメリカ星雲」
※本来は強い画像処理を加えて表現する天体写真ですが、レンズ性能を伝えるために控えめな処理にしています。
そんな悩みを解決する効果的な手段が、この記事で紹介するTAMRON Lens Utilityの新機能「アストロ FC-L」です。レンズには設計値でいうところの無限遠があります。これを「光学インフ」と呼びます。「アストロ FC-L」はUSB-C端子が搭載されたタムロンレンズで使用可能で、PCやAndroidスマートフォンとレンズを接続することで、アプリがレンズ情報を認識し、ワンタップで光学インフにピントを合わせてくれるという機能です。使い方は簡単で、モバイル版の場合、レンズとAndroid端末をUSBケーブルで接続し、「アストロ FC-L」をタップするだけ。一瞬で光学インフの無限遠になります。あとは露出を決めてシャッターを切るだけ。あまりにも便利で簡単で、初めて使用したときはびっくりしました。
「天の川中心部・バンビの横顔付近」
光学インフを設計値での無限遠、と表現しているのは、使用する環境によって無限遠の位置が変わるからです。現代のレンズには手ブレ補正機構やオートフォーカスで使用するレンズがあり、制御するために動くように配置されています。気温が低くなったり湿度が急激に高くなったりすると、レンズの材質・設計によってはこのレンズ動くことがあり、ピント位置が変わることがあるのです。私が使用したときは、レンズによっては気温1度の環境下で光学インフが実際の無限遠にはならない場面がありました。「アストロ FC-L」はこのような場面でも微調整が簡単に行えるようになっていて、「アストロ FC-L」を解除するとアプリからピント調整を行うことができます。これがまた非常に便利で、以下画像のように左側のフォーカスリングが粗動、右側のフォーカスリングが微動となっていて、微動部分をピンチすると拡大され、さらに精密なフォーカシングを行うことができます。屋外の撮影でレンズに触れずにピント調整が行えることは非常に画期的なことだと感じました。
-
TAMRON Lens Utility
TAMRON Lens Utilityは、コンピューターまたはスマートフォンを使用して、コネクターポート(端子形状: USB Type-C)を搭載したタムロンレンズのカスタマイズやファームウェアのアップデートを行える専用ソフトウェアです。 レンズを使いやすいように設定することで、撮影がもっと楽しく、もっとクリエイティブになります。
Hiroyuki Narisawa 成澤 広幸
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。 星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuber。公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。富士フイルム・アカデミーX講師、ニコンNPS会員。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。 星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。 写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしての活動を本格的にスタート。さまざまな情報発信に努めている。
記事で紹介された製品
-
20-40mm F/2.8 Di III VXD a062(Model )
20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)は、携帯性を徹底的に追求した、新たな大口径標準ズームレンズです。超広角20mmからはじまり、標準域の40mmまでをカバーしながら、クラス最小・最軽量のサイズ感。ズーム全域で美しい写りも実現しており、静止画撮影だけでなく、Vlogなどの動画撮影にも活躍します。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを採用し、高速・高精度なAFを実現。静止画・動画問わず気軽に持ち出し撮影を楽しむことができる、今までにない新しい大口径標準ズームレンズです。
-
28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 a063(Model )
タムロン28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)の製品ページです。Model A036の第2世代「G2」モデルとして、光学・AF性能が大幅に向上し、機能のカスタマイズが可能になったソニー Eマウント用、ニコン Z マウント用大口径標準ズームレンズです。