2025.11.28
初心者でも失敗しない建物写真の撮影テクニックとレンズ選びの基本
初心者でも失敗しない建物写真の撮影テクニックとレンズ選びの基本
建物写真の魅力と楽しみ方
建築写真とは、ただ建物を記録するだけではありません。直線美や構造美、光と影のコントラスト、デザインされた空間の魅力を視覚的に切り取る「アート」の一つです。住宅や歴史的建造物、モダンな高層ビルまで、あらゆる建物には建築家の意図や背景が込められており、それを写真という形で表現できる点が大きな魅力です。
また、建築物は時間や天候によって表情を変えるため、同じ建物でも撮るタイミングや光の向きによって全く異なる印象を与えます。時間帯や季節によって「空」「影」「反射」などの環境要素が加わることで、まるで別の建築のように感じられる瞬間があります。これこそが、建物写真が奥深く飽きないジャンルである理由のひとつです。
街歩きの中で思わず立ち止まってしまうような建物と出会った時、それを美しく残したいという気持ちからカメラを構える。建物写真の魅力は、そうした“気づき”を形にできることにあります。
建物を美しく撮るための撮影機材と基本設定
必須アクセサリー:三脚・レリーズ・フィルター
建物を高画質で撮影するなら、三脚は必須アイテムです。特に暗い場所や夕景・夜景では、シャッタースピードが遅くなるため、手持ちではブレてしまいます。水平を保つことも構図を整えるうえで非常に重要で、建築写真においては“垂直と水平”が写真の印象を大きく左右します。
さらに、レリーズ(リモートシャッター)があるとシャッターボタンを押す際のわずかな振動も防げ、ディテールの描写が一段と安定します。
また、PLフィルター(偏光フィルター)を使えば、窓ガラスの反射を軽減したり、空の青さを強調することができます。特に現代建築で多用されるガラス張りの建物や、水辺に面した建築物では非常に効果的です。
カメラの設定:絞り・ISO・ホワイトバランス
建物撮影においては、絞り優先モード(AまたはAv) が基本です。なぜなら、建築物のディテールをくっきり写し出すためには、被写界深度(ピントの合う範囲)を広く取る必要があるからです。一般的にはF8〜F11程度の中〜大きめのF値が理想的で、細部までしっかりと写ります。
ISO感度は、100〜200となるべく低感度に設定することで、ノイズを抑えたシャープな写りが得られます。建物は動かない被写体ですので、シャッタースピードが遅くなっても問題ない場面が多く、ISOを下げて質の高い描写を優先できます。
ホワイトバランスはオートでも十分対応できますが、夕方や夜景では色温度が大きく変化するため、「太陽光」「日陰」「白熱灯」など固定設定を使うことで意図した色味を表現しやすくなります。
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建築写真に適した構図のコツ
基本構図:三分割・対称構図・消失点
建物写真では、「三分割法」が最も使いやすく、画面を縦横それぞれ三分割した線の交点やライン上に建物の主要な要素を配置することで、視線誘導がしやすく、安定した構図になります。
対称構図は、建物正面を真正面から撮ることで成立し、シンメトリーの美しさや厳格な印象を与えるのに最適です。特に歴史的建造物やモダン建築など、設計が精緻な建物に適しています。
また、消失点やパースペクティブを意識することで、奥行きや立体感のある写真が撮れます。建物が遠くに向かって収束していく構図は、都市の広がりや建築物のスケール感を表現するのに有効です。
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見せたい要素を明確にするフレーミング術
フレーミングのポイントは、「何を伝えたいのか」を明確にすることです。建物の外観や構造的な特徴、たとえば幾何学的な模様、窓やドアの配置、素材の質感など、建築の個性を引き立てる要素を意識しながら構図を組み立てましょう。
不要な看板や電線などの情報が写り込まないように意識するだけで、画面がすっきりし、主題がより引き立ちます。時にはローアングルや斜め構図など視点を工夫することで、見慣れた建物も新鮮に写すことができます。
光と時間帯の使い方
朝・夕のゴールデンアワー
建築写真で最も印象的な光を得られるのが、日の出直後と日没前の「ゴールデンアワー」です。この時間帯は太陽の位置が低く、建物の側面に斜めから光が当たることで、壁面や装飾の陰影がくっきりと浮かび上がります。立体感と奥行きが出やすく、同じ建物でも昼間とはまったく異なる表情になります。
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また、空の色温度が温かくなることで、全体的にドラマチックな雰囲気を演出できます。特にレンガや木材など暖色系の外壁素材は、夕陽に照らされることで深みのある色合いになります。
逆光やサイド光の活用法
逆光を利用すると、建物の輪郭が強調されてシルエット表現が可能です。現代建築などのユニークな形状を、印象的に浮かび上がらせるのに効果的です。ただし、露出が難しくなるため、マニュアルモードでの調整が必要です。
一方、サイド光(斜めからの光)は陰影を際立たせ、装飾や凹凸が豊かな建築物の特徴を強調してくれます。建物の質感をしっかり表現したいときに効果的です。
夜の建物撮影と露出の考え方
ライトアップされた建物は、夜にこそ真価を発揮します。特に歴史的建造物やタワー系の施設は、光の演出によって荘厳さや幻想的な雰囲気が加わります。
夜景撮影では、露出オーバー(白飛び)を防ぐために露出を−1から2程度に補正し、ハイライトを抑えるのがポイント。三脚とレリーズを活用し、低ISO+長秒露光でノイズの少ない滑らかな描写を目指しましょう。
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建物写真でありがちな失敗とその改善法
傾き・パースペクティブの崩れを防ぐ
初心者にありがちなミスが、建物の「傾き」です。とくに広角レンズで撮影すると、画面の端に行くほど垂直線が歪みやすく、建物が倒れて見えることがあります。これを防ぐためには、カメラをできるだけ水平に保つことが基本。ライブビューのグリッド表示や水準器を活用し、構図を整えましょう。
構図・露出・光の失敗事例と解決法
建物が暗く写ってしまう、または空が白飛びしてしまうという失敗はよくあります。これらはカメラの測光モードを見直すことで改善できます。たとえば、建物を主役にするならスポット測光に設定し、建物の露出を基準にするのが有効です。
また、電線・看板・通行人など、構図内に不要な要素が入り込むのもよくあるミス。構図を少し変えるだけで、写真の印象が格段に良くなることも多いので、撮影時に妥協せず丁寧にフレーミングしましょう。
建物写真に適したレンズの選び方
建築撮影に適したレンズとは?焦点距離の考え方
建物全体をフレームに収めるためには、広角レンズ(15〜35mm前後)が必須です。遠くから建物全体を捉えることで歪みを抑えつつ、構図の自由度が高まります。特に狭い場所や都市部では、建物との距離を取れないことが多いため、広角域のレンズが重宝します。
焦点距離によってパースペクティブの強弱が変わるため、単なる「広く撮れる」だけでなく、被写体との距離とバランスを意識して選ぶことが重要です。
広角レンズ・ティルトシフトレンズの特徴と活用シーン
広角レンズは、都市風景や高層ビル、インテリア撮影にも幅広く活躍します。遠近感が強調され、ダイナミックな画面構成が可能ですが、その反面、構図の歪みに注意が必要です。
ティルトシフトレンズは、遠近歪みをコントロールできる特殊レンズで、プロの建築写真家にも愛用されています。建物の垂直線をまっすぐに写したいときや、正確なパースペクティブを求めるときに最適です。
タムロンのおすすめレンズ
広角の画角を活かして、狭い場所でも構図を組みやすいレンズや、F値の明るいレンズで暗所にも強く、夜間の建築撮影にも対応できるレンズをご紹介します。
広角ズームレンズ
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16-30mm F/2.8 Di III VXD G2 a064(Model A064)
市場で好評を得た17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046)が進化した、第2世代「G2」モデル。ズーム倍率を拡大しながらも、軽量・コンパクトな設計を維持し、高画質を実現しました。さらに、AF性能を向上させるとともに、最新のレンズデザインにアップデートし、操作性を高めています。また、レンズに動画・写真撮影用の実用的な機能を割り当てられるTAMRON Lens Utility™にも対応。初代の機動力と実用性を継承しながら、広角撮影の可能性をさらに拡げた16-30mm F2.8 G2。超広角ならではの表現を存分にお楽しみいただける一本です。
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17-50mm F/4 Di III VXD a068(Model )
17-50mm F/4 Di III VXD (Model A068)は、静止画や動画撮影で使用用途の高い焦点距離をカバーした、超広角域17mmから標準域50mmまでをF4通しでカバーする広角ズームレンズです。ズーム全域で高い描写力を達成しており、画面周辺までクリアに描きます。AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)を採用し、高速・高精度なAFを実現。また、インナーズーム機構の採用により、ズーム時に長さが変化しないため、静止画撮影だけでなく、ジンバルなどに搭載してもバランスがとりやすく、動画撮影にも最適です。さらに、広角端で最短撮影距離0.19m、望遠端で0.3mと近接撮影能力が高く、被写体に思いきり寄れるため、様々な撮影シーンで個性豊かな一枚を撮影することができます。機動力・利便性に長けたこの1本を持ち歩けば、静止画・動画問わず、ダイナミックな風景からスナップ撮影まで、レンズ交換をせずにバリエーション豊かな撮影が可能です。
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11-20mm F/2.8 Di III-A RXD b060(Model )
11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)は、大口径F2.8でありながら小型軽量と高い描写力を実現。コンパクトなAPS-Cサイズミラーレスカメラボディとのバランスもよく、普段使いとして最適です。広角端11mmでは最短撮影距離0.15m、最大撮影倍率1:4と驚異的な近接撮影能力を実現し、パースペクティブの効いたデフォルメ効果を活かしたワイドマクロ撮影が可能。また、AF駆動には静粛性に優れたステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載しており、静止画だけでなく動画撮影にも適しています。加えて、屋外での撮影を考慮した簡易防滴構造や防汚コートを採用するなど、超広角大口径F2.8の高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。
標準ズームレンズ
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20-40mm F/2.8 Di III VXD a062(Model )
20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)は、携帯性を徹底的に追求した、新たな大口径標準ズームレンズです。超広角20mmからはじまり、標準域の40mmまでをカバーしながら、クラス最小・最軽量のサイズ感。ズーム全域で美しい写りも実現しており、静止画撮影だけでなく、Vlogなどの動画撮影にも活躍します。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを採用し、高速・高精度なAFを実現。静止画・動画問わず気軽に持ち出し撮影を楽しむことができる、今までにない新しい大口径標準ズームレンズです。
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28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 a063(Model )
28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)は、高い評価を受けた28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)から、第2世代「G2」として、さらなる進化を遂げた大口径標準ズームです。高画質・高解像を実現し、AFの高速化と高精度化を達成しました。広角端での最短撮影距離0.18m、最大撮影倍率1:2.7を実現。新デザインの採用により操作性や質感も向上しました。さらに、独自開発した専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズが可能になりました。
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17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD b070(Model )
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)は、APS-Cサイズミラーレス一眼用の大口径標準ズームレンズです。普段使いに最適な17-70mm (35mm判換算:25.5-105mm相当)、ズーム比4.1倍を実現。画面全域において高い解像性能を維持します。また、手ブレ補正機構VCの搭載や、静かで滑らかなAF、フォーカスブリージングを抑えて快適な動画撮影をサポートします。大口径F2.8の高画質を静止画と動画、双方の撮影で手軽に楽しめる実用性の高いレンズです。
単焦点レンズ
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20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f050(Model )
F/2.8の明るさと高い近接撮影能力を合わせ持つレンズが登場。Model F050は超広角撮影を本格的に楽しめる20mmの単焦点レンズです。最短撮影距離0.11mまで寄れば、未体験の超広角世界を楽しむことができます。
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24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f051(Model )
“驚異的に寄れる”広角単焦点レンズが登場。Model F051は広角写真のバリエーションを広げる焦点距離24mm、最短撮影距離0.12mを実現しています。撮影のフットワークを軽くする小型・軽量設計でスナップに最適なレンズです。
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35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f053(Model )
ミラーレス専用設計のソニーEマウントレンズシリーズに単焦点35mmが登場。Model F053はF/2.8と大口径でありながら最短撮影距離0.15mまでの近接撮影が可能。被写体が引き立つ美しいボケを楽しむことができます。
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90mm F/2.8 Di III MACRO VXD f072(Model )
90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)は優れた解像力ととろけるボケ味。進化した高速・高精度AFとタムロン初の12枚羽根の円形絞りを採用した、コンパクトな中望遠マクロレンズです。