2025.05.30
圧縮効果とは?仕組みや効果を活かした写真の撮り方をご紹介
圧縮効果とは?仕組みや効果を活かした写真の撮り方をご紹介



圧縮効果とは、写真において被写体と背景の距離感が実際よりも近く見える現象です。私たちが肉眼で見るよりも遠近感が圧縮されることで、背景が迫ってくるような印象を与え、より迫力のある写真になります。主に望遠レンズで顕著に表れる効果で、主題の印象を強める表現として応用されます。
圧縮効果が発生する仕組み
圧縮効果が生まれるのは、カメラから被写体が離れ背景との距離差が相対的に小さくなることで、背景が大きく写って見えるためです。
たとえば、同じ位置に立つ人物を、以下35mm(広角側/左)と150mm(望遠側/右)で撮影した2枚の作例を見てみましょう。
35mmでは、人物と背景との距離感がしっかり感じられ、背後の風景が遠くにあるように写っています。
一方、150mmでは、背景の要素がグッと手前に引き寄せられたように見え、人物との距離感が圧縮されていることがわかります。
これは、被写体と背景との相対距離の比率がレンズの焦点距離によって異なることに起因しています。背景までの物理的な距離は同じでも、望遠レンズで撮影すると、被写体と背景の距離の比率が小さくなり、結果として二者の距離が縮まって見えるのです。
圧縮効果は望遠レンズで強調される
前述の通り圧縮効果は、望遠レンズでより強く見られる現象です。望遠レンズでは被写体から離れて撮影するため、先ほど説明した距離の比率が小さくなり、圧縮効果がはっきりと表れやすくなるのです。
たとえば、50mmの標準レンズと200mmの望遠レンズで同じ大きさに人物を写すと、望遠レンズの方が背景が大きく写り、迫力のある印象になります。また、望遠レンズは画角が狭いため、背景が写る範囲も狭まります。これによって背景が迫ってくるような印象が強調されます。
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圧縮効果を写真撮影に活かすには?
ここからは、望遠レンズで撮影する際に、圧縮効果を効果的に取り入れるためのコツをご紹介します。
主題と背景との距離感を意識する

圧縮効果には主題と背景の距離が影響します。両者の距離が離れるほど、圧縮効果による印象的な対比が生まれやすくなるでしょう。たとえば、街中の人物と遠方にあるランドマークなど、距離感のある被写体の組み合わせを探してみましょう。
また、背景が遠くにある場合は、より長い焦点距離を選ぶと圧縮表現が顕著になりやすいです。たとえば、遠くの山々を背景にしたポートレートを撮る場合、300mm程度以上の望遠レンズを使うと、山が大きく迫ってくるような印象になるでしょう。
前景から後景までの重なりを意識する

圧縮効果をより印象的に表現するには、複数の被写体が重なるように配置することも効果的です。たとえば、手前の草花、中景の建物、遠景の山々といった異なる要素が層のように重なると、奥行きとともに芸術的な印象が得られます。
特に、都市風景(人工物)と遠くの山並み(自然)といった、スケール感の対比を強調できると面白い表現になるでしょう。たとえば、高層ビル群と夕焼けの空、街明かりと月など、コントラストのある組み合わせは見る人の注意を惹きます。
関連記事:【初心者の方必見!】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
背景ボケで主題の印象を強調する

圧縮効果と合わせて背景をボカすことで、主題をより引き立てることができます。特にポートレートなどでは、人物の印象を効果的に強められるでしょう。
背景ボケを活かすためには、主題と背景の距離を確保し、できるだけ開放に近いF値で撮影することがポイントです。また、背景に光源がある場合は、玉ボケを狙ってもいいかもしれません。
関連記事:【背景ボケのつくり方】ボケを活かして美しい写真を撮る方法
シーン別の圧縮効果の活用例
圧縮効果は様々なシーンで応用できます。ここでは代表的な撮影シーンでの表現例をご紹介します。
ポートレート

ポートレート撮影では、85mmから135mm程度の中望遠域のレンズを使用すると、自然な人物の印象と背景の圧縮効果をバランス良く取り入れられます。背景は街並みや大きな構造物、自然など、スケール感や色彩を対比できると良いでしょう。
撮影時には、被写体との距離や背景を変えながら、印象がどう変わるかを観察してみましょう。また、開放に近いF値で撮影すると、圧縮効果と美しい背景ボケの両方を活かした魅力的なポートレートが撮影できるでしょう。
関連記事:ポートレートとは?上手に撮影するコツやレンズ選びのポイントを解説
自然風景

風景撮影では、超望遠レンズを使用すると、海や山、雲などの重なりを印象的に表現しやすくなります。層状に重なる山々や、朝霧が立ち込める谷の風景などを狙ってみると、圧縮効果によって神秘的な雰囲気が得られるでしょう。
たとえば、 山と新緑、朝霧と山の稜線、波の荒々しさなど、距離感の異なる要素の組み合わせを探すと魅力的な印象になります。また、朝日や夕日の光が斜めから差し込む時間帯も、立体感が強調され、圧縮効果と相まって印象的な一枚になります。
関連記事:【風景写真の撮り方】構図を活かしてダイナミックに!バランスよく撮るコツを解説
街並み

都市の風景や街並みを撮影するシーンでは、建物や街灯が直線的に並ぶ風景を捉えると、稠密な印象を強調できます。繁華街の看板や人通りのある通りを望遠レンズで撮ると、実際よりも密集して見える特徴的な表現が可能です。
また、夜景撮影では遠くの光源が大きく見えるため、より幻想的な印象が得られるでしょう。やや小高い場所から俯瞰するように撮影すると、ビル群や道路の重なりにより圧縮効果が際立ちます。その他、同じ人波の撮影でも、朝の通勤ラッシュや夕暮れの帰宅する人々の流れなど、時間帯によって変わる街の情景も圧縮効果で印象的に表現できます。
望遠レンズの選び方
圧縮効果を効果的に表現するには、レンズ選びも重要なポイントです。ここでは、望遠レンズを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
焦点距離と画角
表現の幅を広げる上では、70mmから85mmなどの中望遠域から望遠域まで幅広くカバーするズームレンズがおすすめです。同じ圧縮効果でも様々な表現が可能になります。
また、ポートレート撮影なら85mmから135mm程度、風景や野鳥など遠くの被写体を撮影するなら200mm程度以上が適しているでしょう。自分が撮影したいシーンを想定して、適切な焦点距離のレンズを選んでみましょう。
関連記事:焦点距離とは?画角との関係など基礎知識を解説
開放F値
F2.8やF4などの開放F値が小さいレンズは、暗所撮影でも明るめの写真を撮りやすく、速いシャッタースピードでも露出を得やすくなります。また、開放F値が小さいレンズはボケが大きくなるため、ポートレートなど被写体を際立たせたい場合にも効果的です。
関連記事:F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
描写性能
同じような焦点距離や開放F値を持ったレンズでも、色再現やコントラスト、ボケの質感など、レンズによって独自の「味」があります。レビューやSNSの作例を見比べたり、プロの写真家の作例を参考にしたりしながら、イメージする描写が得られるレンズを選ぶと良いでしょう。
重さ・コンパクトさ
望遠レンズは一般的に大きく重くなる傾向があるため、特に初心者の方は、軽量・コンパクトなレンズから始めると使いやすいでしょう。重たいレンズの場合は手持ちでは不安定になるため、三脚が必要となります。
オートフォーカス(AF)性能
基本的なフォーカスのスムーズさや精度に加えて、動きのある被写体(スポーツや野鳥、子どもの遊ぶ姿など)を撮る場合は、AFの動体追従性能が高いレンズを選びましょう。また、動物など警戒心の高い被写体を撮影する場合は、AF駆動の静粛性も確認しておくと良いでしょう。
関連記事:オートフォーカス(AF)とは?代表的な種類や使い方を詳しく解説
レンズ内手ブレ補正機構
望遠撮影では、手ブレが目立ちやすくなります。そのため、手ブレ補正機構があるレンズを選ぶと、より安定した撮影が可能になります。また、手ブレ補正の効き量を変えられるタイプだと、静止した風景から動きのある被写体まで、様々な状況に対して表現の幅を広げられるでしょう。
タムロンの望遠ズームレンズ
タムロンの望遠ズームレンズは、高い描写性能に加え、1本のレンズで標準域から望遠域まで幅広い焦点距離をカバーしています。また、軽量・コンパクトで使いやすい機種が多いため、初心者の方にもおすすめです。作例なども確認しながら、イメージする被写体にあったレンズを探してみてください。
望遠ズームレンズ
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35-150mm F/2-2.8 Di III VXD a058(Model )
35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)は、広角端で開放 F2を達成し、準広角35mmから望遠150mmまで、ポートレート撮影で使用頻度の高い画角を1本でカバーします。大幅な大口径化と高画質を実現、リニアモーターフォーカス機構VXDにより高速・高精度AFを達成しています。新デザインの採用により、操作性や質感も向上しました。独自開発の専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズも可能になりました。
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50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a069(Model )
50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A069)は、70-300mm使用時の「広角側が少し物足りない」の声に応え、広角側を50mm始まりに。望遠域300mmまでカバーしながらも非常にコンパクトなサイズを実現しています。また、50-300mm全域で高画質を達成。静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)や手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)の搭載により、あらゆる撮影を強力にサポートします。さらに、広角端では最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率1:2の高い近接撮影能力で、存分にハーフマクロの世界を楽しめます。気軽に本格的な撮影が楽しめるこの万能ズームレンズが、作品づくりの可能性を広げます。
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70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 a065(Model )
70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)は、市場でご好評をいただいている大口径望遠ズーム「70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)」(以下Model A056)からさらなる進化を遂げ、第2世代「G2」モデルとして誕生しました。本機種では、タムロン独自の手ブレ補正機構VC (Vibration Compensation)を新たに搭載。クラス最小・最軽量*の機動力を維持しながら、より安定した撮影が可能です。また、初代Model A056から光学設計を一新し、ズーム全域で妥協のない高画質な写りを実現。広角端の最短撮影距離も初代の0.85mから0.3mへ短縮することに成功しており、非常に短い最短撮影距離による、本レンズならではのユニークな写真表現が楽しめます。*手ブレ補正機構搭載フルサイズミラーレス用大口径F2.8望遠ズームレンズにおいて。(2023年8月現在。タムロン調べ)
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70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD a047(Model )
70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD (Model A047)は望遠撮影をより多くの方に楽しんでいただくために生まれました。幅広い望遠域をカバーしながらも、軽量・コンパクトサイズを実現。特殊硝材の採用により、色収差をはじめとした諸収差を抑制し、高画像と美しいボケ味が楽しめます。また、AF駆動には静粛性に優れた高速・精密なステッピングモーターユニットRXDを搭載。風景やスポーツ、鉄道、飛行機の他、ポートレートやスナップなど、手持ちで軽快に撮影を楽しみたいシーンでもその力を発揮します。
超望遠ズームレンズ
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a067(Model )
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
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150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD a057(Model )
150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)は、望遠側の焦点距離500mmを確保しながら、手持ち撮影も可能な小型化を実現。高画質な描写性能はそのままに、超望遠500mmの世界を手軽にお楽しみいただけます。追従性に優れた高速・高精度AFと、手ブレ補正機構VCの搭載により、超望遠域での手持ち撮影をサポートします。
高倍率ズームレンズ
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28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD a071(Model )
これまでタムロンが培ってきた高倍率ズームレンズの技術力やノウハウを注ぎ込み、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)は誕生しました。高倍率ズームとしては世界初となるF2.8スタートの明るさを確保。広角端28mmから望遠端200mmにいたるズーム全域においても高い描写性能を実現します。
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28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD a074(Model )
28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD (Model A074)は、ズーム倍率10.7倍でコンパクト、汎用性に優れたソニー Eマウント用高倍率ズームレンズです。フルサイズミラーレス一眼カメラ用高倍率ズームレンズとして、クラストップレベルの高画質を誇り、高速・高精度AFのVXDと、手ブレ補正機構VCを搭載。レンズ交換不要であらゆる「撮りたい」に対応できる、行動派レンズです。
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18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD b061(Model )
18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)はズーム比16.6倍を実現し、AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載。特殊硝材をバランスよく配置したことで、画面の中心から周辺まで高い描写性能を維持し、クラストップレベルの高画質を実現しています。優れた近接撮影能力と手ブレ補正機構VCも搭載。広角から超望遠まで高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。