2025.05.30
【スピード感ある流し撮りのコツ】設定&やり方を押さえてブレずに美しく撮影する方法を解説
【スピード感ある流し撮りのコツ】設定&やり方を押さえてブレずに美しく撮影する方法を解説



流し撮りは、動く被写体に合わせてカメラを追従させることで、被写体にピントを合わせつつ背景が流れるように見せる技法です。動いている被写体と同じ速度でカメラを動かしながらシャッターを切ることで、背景がブレ、躍動感が演出されます。
車や電車、走る人や動物など、一定方向に動く被写体に特に効果的な手法といえるでしょう。また、鉄道や道路を走る車などは動きが予測しやすいため、初心者の方でも始めやすい被写体です。
流し撮りが失敗する原因
流し撮りに挑戦したものの、思うような写真が撮れなかったという経験はありませんか?流し撮りで失敗する主な原因には、一眼カメラの設定や構えるフォーム、ピント合わせがうまくできていないことが挙げられます。ここでは、よくある失敗例をご紹介します。
シャッタースピードの設定ミス
流し撮りでよくある失敗の一つは、シャッタースピードの設定ミスです。シャッタースピードが遅いほど躍動感は強調できますが難易度が非常に高く、せっかく被写体を追っていても被写体自身がブレてしまい、全体がぼやけた写真になってしまいます。
一方で、シャッタースピードが速すぎると、背景が流れず通常の静止画と変わらない印象になってしまうでしょう。一般的に1/60秒から1/125秒程度が初心者の方でも挑戦しやすいシャッタースピードとなります。
関連記事:シャッタースピードとは?設定の目安や被写体に合わせたコツをご紹介
カメラを構えるフォームが不安定
カメラを構えるフォームも失敗の原因になることがあります。手首や腕だけでカメラを動かそうとすると、動きがぎこちなくなり、被写体を滑らかに追従できません。
体の芯を軸として上半身全体を回転させるように動かしましょう。両脇をしっかり締めてカメラを安定させ、腰を軸にして体ごと回転するようにすると、滑らかな動きが実現できます。また、シャッターを切る瞬間だけ被写体を追うのではなく、被写体が視界に入る前から追い始め、シャッターを切った後も同じ速度で追い続けることもポイントです。
ピントが合っていない
ピント合わせも流し撮りが失敗する原因の一つです。動いている被写体を追いながら撮影するため、コンティニュアスオートフォーカス(AF)を使用することで、被写体の動きに合わせて常にピントを追従させることができます。
また、AFエリアの設定も重要です。ゾーンやフレキシブルスポットなどに設定し、被写体の最も撮りたい部分(たとえば、車のヘッドライトや人物の表情など)に合わせるよう心がけましょう。
関連記事:【撮影の基本】ピントが合わない理由や調整方法を解説
流し撮りを成功させるコツ
ここからは、流し撮りの具体的なコツを見ていきましょう。
撮影モードはシャッタースピード優先かマニュアルを
流し撮りに適した撮影モードは、シャッタースピード優先モードです。シャッタースピード優先モードでは、シャッタースピードを設定すると、カメラが適正露出になるような絞り値を自動的に調整してくれます。流し撮りではシャッタースピードの設定がポイントとなるため、このモードが使いやすいでしょう。
また、上達してきたらマニュアルモードもおすすめです。シャッタースピードだけでなく絞り値やISO感度なども自分で調整できるため、より細かく表現をコントロールできるようになります。
シャッタースピードは1/60秒を基本に

流し撮りのポイントとなるのがシャッタースピードの設定です。初心者の方は1/60秒から1/125秒程度のシャッタースピードから始めると良いでしょう。
撮影に慣れてきたら、徐々に1/30秒、1/15秒と遅くしていくことで、よりスピード感を表現できるようになります。シャッタースピードが遅いほど背景が流れるように見え、躍動感の強い印象になります。ただし、シャッタースピードを遅くするほど難易度は上がるため、まずは1/60秒での流し撮りをマスターしましょう。
F値とISO感度の設定
シャッタースピード優先モードではF値(絞り値)は自動設定されますが、画像を見ながら適切な露出が得られているかを確認しましょう。一般的にF8からF11程度が一つの目安となります。
ISO感度はISO100からISO400程度を目安に、暗い場合は高くするようにしましょう。一方、ISO感度を上げすぎるとノイズが目立ってくる場合があるため、高い場合でもISO3200からISO6400程度が目安となります。
また、晴天の日中で遅いシャッタースピードでの撮影は、露出オーバーになりやすいです。このような状況では、NDフィルター(減光フィルター)を活用するのが効果的です。
関連記事:一眼カメラの露出とは?露出を決める要素と露出補正の使い方
オートフォーカス(AF)は追従する設定に
動く被写体を撮影する場合、被写体を追従するコンティニュアスAFを選びましょう。
AFエリアについては、ゾーンやフレキシブルスポットなど、ある程度固定された設定にしておくと良いでしょう。被写体を自動認識するトラッキング機能や瞳AFなどがありますが、流し撮りでは背景も動き、うまくピントが合わないこともあるため、使用しないのが一般的です。
関連記事:オートフォーカス(AF)とは?代表的な種類や使い方を詳しく解説
連写で撮影する

流し撮りでは、連続撮影で撮影しましょう。被写体が画面に入る少し前からシャッターを押し、通過後も続けるイメージで撮影するとベストショットを捉えやすくなります。
正しいフォームで主題を追いきる
流し撮りには、安定した姿勢からの滑らかなカメラワークが欠かせません。ポイントとしては足を肩幅に開き、しっかりとした立ち位置を確保します。ファインダーを額に押し当て、両脇を締めて体をブレにくくしましょう。
手首や腕で動かすのではなく、上半身全体を回転させるようにカメラを動かします。腰を軸として、肩から腕へと連動させる動きをイメージすると、カメラの動きが滑らかになります。また、シャッターを切った後も体で追うようにしましょう。このフォロースルーを意識すると、被写体をブレずに捉えやすくなります。
構図を決めて待ち構える
被写体が通過する瞬間を想定して、あらかじめ構図を考えておきましょう。どのような背景と共に被写体を捉えるかをイメージし、その場所で待ち構えます。
背景選びも注意したいポイントです。単調な背景(青空や単色の壁など)だと流れの効果がわかりにくくなります。木々や看板など模様や色彩がある背景だと、流れの効果がはっきりと現れ、スピード感がより強調されます。また、光の向きも意識しましょう。逆光では被写体のシルエットが際立ち、順光では被写体の色や質感を鮮やかに表現できます。
関連記事:【初心者の方必見】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
一脚を活用する
手持ちでの撮影に慣れていない場合や、長時間の撮影、または重い望遠レンズを使用する場合は、一脚の活用を検討してみましょう。一脚は三脚と違い、上下のブレを抑えながらも、横方向への動きの自由度が高いため、流し撮りに適しています。
一脚を使用する際のポイントは、地面に押しつけずに、やや浮かせた状態で使うことです。これにより、被写体の動きに合わせてスムーズに左右に動かすことができます。また、雲台はできればビデオ用の雲台やフルード雲台など、滑らかな動きができるものを選ぶとより効果的です。
シーン別の流し撮りのコツ
流し撮りは様々なシーンで活用できる撮影技法です。ここでは、代表的なシーン別に撮影のコツをご紹介します。
スポーツ

スポーツシーンでの流し撮りは、選手の躍動感や緊張感を捉えるのに最適です。特に陸上競技やサイクリング、スキーなど、一定方向に動く競技が撮影しやすいでしょう。シャッタースピードは1/60秒から1/125秒程度の間で始めるのが良いでしょう。
スポーツ撮影で重要なのは、選手の動きを予測することです。競技の流れを観察し、選手がどのようなコースを通過するか、次にどのようなプレーをするかなどを把握しておきましょう。選手が画面に入る1テンポ前から連写を開始することで、決定的瞬間を逃しにくくなります。また、選手の表情が見えるアングルを意識すると、表現のバリエーションを増やすことができます。
子ども
子どもの撮影は、予測不能な動きをするため流し撮りの難易度が高めです。しかし、遊具など動きが予想しやすいシーンを選ぶと、比較的安定して撮影できます。ブランコや滑り台、自転車なども狙い目です。
シャッタースピードは1/60秒程度から始め、子どもの動きの速さに合わせて調整しましょう。子どもの場合は特に表情が大切なので、顔がきれいに見えるアングルを意識します。また、子どもと同じ目線の高さから撮ることで、自然な表情を引き出すことができます。
関連記事:【運動会写真の撮り方】子どもを上手に撮影するコツやおすすめレンズをご紹介
鉄道
鉄道は進路が明確で速度も一定なため、流し撮りの練習にも適した被写体です。シャッタースピードは1/30秒から1/125秒程度が一般的で、列車の速度や距離により調整します。
鉄道撮影では、列車が通過する数秒前から体を動かし始め、通過後も同じ速度で追い続けることが重要です。車両の先頭や特徴的な造形、車窓など、焦点を当てる部分を決めておくとピントを合わせやすいでしょう。
撮影場所は、背景に特徴のある場所を選ぶと効果的です。駅のホーム、線路脇の並木道、踏切など、列車と背景のコントラストが生まれる場所がおすすめです。ただし、必ず安全な場所から撮影し、乗客の迷惑になる行為や運行の妨げとなる行為は絶対に避けましょう。
モータースポーツ

サーキットなどでの撮影は車の速度が速く難易度が高いですが、その分躍動感あふれる写真が撮れます。
初心者の方は1/125秒程度から始め、慣れるにしたがって徐々に1/60秒、1/30秒とシャッタースピードを遅くしていくとよいでしょう。カーレースなどでは、コーナーで減速する場面を狙うと比較的撮影しやすく、ダイナミックな像が得られます。
撮影時は脇を締めて腰を起点に回転するイメージで、マシンの動きに合わせてカメラを滑らかに動かしましょう。連写モードを活用し、レース車両のカラーリングや特徴的なデザインが映えるアングルを見つけましょう。
関連記事:疾走感あるバイクや車を撮ってみよう!モータースポーツ写真を撮影するには? レンズ選びや撮り方のコツをご紹介
動物

野生動物は動きが予測しにくく、流し撮りの難易度が高い被写体です。まずは動物園など動きが読みやすい場所で練習するとよいでしょう。檻の中を走り回る動物や、飛行する鳥などが適しています。
動物撮影では望遠レンズを使用することが多く、手ブレしやすいため、一脚の使用を検討してみましょう。シャッタースピードは1/60秒から1/125秒程度から始め、動きの速さに応じて調整します。
また、動物の習性を予習し、動きのパターンを予測するようにしましょう。たとえば、餌場に向かう時間帯や特定の場所を好んで通る習性などを把握しておくと、シャッターチャンスを待ち構えることができます。
関連記事:野鳥撮影にチャレンジ!撮り方のポイントやレンズ選びのコツをご紹介
流し撮りに適したレンズ選びのコツ
被写体や撮影シーンに合わせて、適切なレンズを選ぶことが重要です。ここでは、流し撮りに適したレンズの選び方について解説します。
焦点距離
流し撮りでは、被写体との距離や撮影シーンに応じて適切な焦点距離のレンズを選ぶことが重要です。モータースポーツや野生動物など、遠距離から撮影する場合は200mm以上の望遠レンズが一般的です。
一方、街中での流し撮りや近距離の被写体を撮る場合は、50mm前後の標準ズームレンズが使いやすいでしょう。適度な広さの画角で周囲の環境も含めた構図が作れ、自然な雰囲気で撮影できます。
関連記事:焦点距離とは?画角との関係など基礎知識を解説
開放F値
開放F値がF2.8などの小さいレンズは、暗い環境でも適正露出を得やすく、明るめの美しい写真を撮ることができます。ボケも大きくなるため、主題の魅力をより引き立たせることが可能です。
関連記事:F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
重さとコンパクトさ
流し撮りでは長時間カメラを構えることが多いため、軽めのレンズがおすすめです。また、コンパクトなレンズはスペースを取らず取り回しが良いため、カメラをスムーズに動かしやすくなります。望遠レンズは大きく重くなりやすいため、一脚との併用も検討しましょう。
AF性能
流し撮りでは動く被写体を追従するため、高速で正確なAF性能を持つレンズが理想的です。特に被写体追従性能の高いものを選ぶと失敗が少なくなります。
また、撮影シーンによってはAFの作動音も注意したいポイント。静かなAFモーターを搭載したレンズは、野生動物など音に敏感な被写体の撮影に適しています。
レンズ内手ブレ補正
レンズ内手ブレ補正機構は、手ブレが発生しやすい手持ち撮影で重要となる機能です。流し撮り用のモードを搭載した機能もあります。また、効き量を調整できるタイプだと、表現の幅が広がります。
流し撮りにおすすめのタムロンレンズ
最後に、流し撮りにおすすめのタムロンレンズをご紹介します。タムロンレンズは軽量・コンパクトで高い解像力が特徴です。優れたAF追従性能により、動く被写体もブレずに捉えることができます。
標準ズームレンズ
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28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 a063(Model )
28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)は、高い評価を受けた28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)から、第2世代「G2」として、さらなる進化を遂げた大口径標準ズームです。高画質・高解像を実現し、AFの高速化と高精度化を達成しました。広角端での最短撮影距離0.18m、最大撮影倍率1:2.7を実現。新デザインの採用により操作性や質感も向上しました。さらに、独自開発した専用ソフトウェアにより、レンズのカスタマイズが可能になりました。
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17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD b070(Model )
17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)は、APS-Cサイズミラーレス一眼用の大口径標準ズームレンズです。普段使いに最適な17-70mm (35mm判換算:25.5-105mm相当)、ズーム比4.1倍を実現。画面全域において高い解像性能を維持します。また、手ブレ補正機構VCの搭載や、静かで滑らかなAF、フォーカスブリージングを抑えて快適な動画撮影をサポートします。大口径F2.8の高画質を静止画と動画、双方の撮影で手軽に楽しめる実用性の高いレンズです。
超望遠ズームレンズ
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a067(Model )
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
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150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD a057(Model )
150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)は、望遠側の焦点距離500mmを確保しながら、手持ち撮影も可能な小型化を実現。高画質な描写性能はそのままに、超望遠500mmの世界を手軽にお楽しみいただけます。追従性に優れた高速・高精度AFと、手ブレ補正機構VCの搭載により、超望遠域での手持ち撮影をサポートします。
高倍率ズームレンズ
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28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD a071(Model )
これまでタムロンが培ってきた高倍率ズームレンズの技術力やノウハウを注ぎ込み、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)は誕生しました。高倍率ズームとしては世界初となるF2.8スタートの明るさを確保。広角端28mmから望遠端200mmにいたるズーム全域においても高い描写性能を実現します。
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28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD a074(Model )
28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD (Model A074)は、ズーム倍率10.7倍でコンパクト、汎用性に優れたソニー Eマウント用高倍率ズームレンズです。フルサイズミラーレス一眼カメラ用高倍率ズームレンズとして、クラストップレベルの高画質を誇り、高速・高精度AFのVXDと、手ブレ補正機構VCを搭載。レンズ交換不要であらゆる「撮りたい」に対応できる、行動派レンズです。
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18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD b061(Model )
18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)はズーム比16.6倍を実現し、AF駆動には静粛性・俊敏性に優れたリニアモーターフォーカス機構VXDを搭載。特殊硝材をバランスよく配置したことで、画面の中心から周辺まで高い描写性能を維持し、クラストップレベルの高画質を実現しています。優れた近接撮影能力と手ブレ補正機構VCも搭載。広角から超望遠まで高画質を手軽にお楽しみいただくことができる、実用性の高いレンズです。